「一緒の、teamに入ってやっていいぜ」

政宗は見下すような視線で、悪戯を考える子供に近い目で座る佐助を見つめた。

四時間目の授業が終わった後の、昼休みが始まってすぐのこと。クラスの喧騒は静まり、皆そちらに集中した。

「今更なにを!ふぐっ」

政宗に食ってかかろうとして、幸村は佐助に止められた。

「よかった。あんがとね、伊達ちゃん」

(伊達ちゃん!?)

今だない呼称にクラス中が面くらう。

政宗の眉間に皺がよった。

「Ah〜?なんだそれは」

「へ?なにが?」

呼んだ本人は政宗の機嫌を損ねる呼び方だと全く思っていなかった。

小太郎と幸村が佐助を守ろうとさりげなく二人の間合いに入る。

横目で二人の存在を認め、政宗はにいとわずかに唇を吊りあげた。

何を企んでいるのか分からない政宗に、それ以上に何を考えているのか分からない含みのある飄々とした笑みを見せた。

わかっていて挑発しているのか気付かぬうちに挑発しているのか。

佐助の考えは読めない。

「一緒にご飯たべない?伊達ちゃん」

誘いかける言葉に裏はあるのかないのか。

狡猾な知恵持つ狐と獰猛な力持つ竜の絡みあう視線は、幸村の盛大な腹の音によって途切れた。「……このタイミングでそれはないよ姫……」

佐助はがっくりと肩を落とし、政宗も他所を向いた。

張りつめた空気が中途半端に霧散し、二人は同時にため息を吐いた。

佐助ははあ、と呆れたように。
政宗はふう、と嘲笑うように。

幸村は顔を真っ赤にして開き直る。

「佐助!お腹が減った。ご飯食べに行くぞ!」

ぐいぐいと佐助の腕を引っ張り、政宗から引き離す。

佐助は幸村に腕を引かれながら、ぐるりと首だけ後ろを向く。

「あ、こた。一緒に食べような」

お弁当の入った袋を振り、弟にも声をかける。

小太郎はそれにこくんと頷き、幸村はぎりぎりと歯を軋ませた。

(お邪魔虫から次から次へと!)

二人っきりで食事していた昨日までが嘘のようだ。

天国から地獄へつき落とされた気分である。

佐助は幸村の憂鬱な気分など知らず、笑みを向けた。

「元気になったみたいで良かった」

幸村はそれに頬を朱に染めた。

わんわんと子供のように大泣きしたことを今更ながら恥いる。

赤い顔を見せたくないあまりに、佐助の腕をぐいぐいと引っ張って、先を歩く。

「姫、痛いって!」

佐助の咎める声も右から左へ通りすぎる。屋上にあがる階段に差し掛かるとき、きいん!と耳に響く怒声が響いた。

「何やってんだお前!」

声の主は風紀の鬼こと長曾我部元親。それこそ鬼のような形相で幸村を睨み付けてきた。



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