教えてください。
愛してはいけない人間を作る神様が、
何故人間に人を愛せよと言うのでしょうか?
似ていない双子と言われ続けた。
(俺はそれが嬉しかった)
(本当に他人なら良かったと何度も思った)
「佐助」
仲の良い双子だね、とよく周りのものから言われた。
「好きだ」
そっと触れてくる、俺と同じ大きさの、手。
頬を包み込むそれに、俺はそっと両手を重ねた。
「俺も好き」
間違ったことなんて、何ひとつない。
俺たちが男同士であることも。
俺たちが兄弟であることも。
間違っているのは、カミサマのほうだ。
二人の唇が触れ合い、その割れ目から現れた舌が、拙くからみあった。
暗い部屋だった。
明かりひとつ付けない暗い部屋。
暗闇に慣れた目が、至近距離に来た顔をようやく捉え、近付きすぎた距離のせいでまたぼける。
小さな音をたてて、唇が少し離れた。
「佐助」
「うん」
「目を閉じてくれ」
「……わかった」
目を閉じると、真の暗の闇があった。
その世界にひとりたたずむ俺に、暖かな手が触れていて、唇が柔らかく包まれる。
ねえ、カミサマ。
男同士が愛しあっちゃいけないなんて間違ってるよ。
兄弟が愛しあっちゃいけないなんて間違ってるよ。
俺たちはこんなにもあいしあってるのに。
「あ」
「どうした、佐助?」
「なんか、くすぐったくて、変……」
「気持ちいいと言えよ」
「……そっか、気持ちいいのか」
「そうだ。これから俺が、佐助をうんと気持ちよくするんだ」
「うん。気持ち良くして……いっぱい気持ちよくして……」
ねえ、カミサマ。
これは罪なのかな?
こんなに幸せなのに、しちゃいけないことなのかな?
それは俺たちに幸せになるなということなの?
ねえ、カミサマ。
答えをください……
「いっ」
「ごめん。佐助、我慢してくれ」
「ううんっ。いい、んだ……何か変なのっ、ユキの、指が、俺の中に……」
「佐助」
「うん」
「佐助」
「……うん」
俺たちは何ひとつ間違っていない。
こうすることが当然なんだ。
ひとつになることが当たり前なんだ。
でも、カミサマ……
もし、罰すると言うのなら、大切なカタワレには何もしないでください。
俺が全部、背負うから。
「……は、あ、あっ」
「佐助。すごく、あつっお前の中」
「ユキのもっ熱っあ、……はあっ」
「な、もっ、動いてっいいか?」
「いっよ……動いてっ」
繋がって。
熱さで溶けあって。
ただ、愛しくて。
「あっあ、あ、あ!」
「佐助っ佐助っだいすきだ!あいしてる!」
その言葉は。
たわ言でも、戯言でも、陳腐でもなくて。
「俺のだ!佐助は俺のだ!
一生はなさない!」
執着が愛しくて、切なくて、嬉しくて。
「あ、ユキのだよっおれはずっとずっとっはなさないで!」
ただひとつカミサマに感謝できることは、俺たち二人に愛しているという言葉を与えてくれたこと。
ねえ、カミサマ。
俺は真田幸村という存在をただひたすらに愛しているんです。
「あっああんあああ!いっちゃ!ユキっユキいいいい!」
カミサマはけれど許してくれない。
俺たちふたりが共に在ることを。
息子の異常な声を聞き、あわてて飛び起き、子供部屋に踏み入れた両親は絶句する。
明かりの下に晒された二人は、互いの体液に濡れて、白く汚れていた。
息子が、もうひとりの息子の中に性器を打ち込み貪る姿に、祈るように天を仰ぎ。
二人を引き離した。
ねえ、なんで?
カミサマは人を愛する方法を教えて、人を愛することを許してくれないの?
それが、
カタワレを愛してしまった俺たちへの罰なの?
了
赦しを乞うから赦して下さい。
俺たちを引きはなさないで。
05.05