神だ!あの方は神なんだ!美しくも強い神なんだ!某二年男子は一心に何かを信じる目で熱く語っていた。その腕にはくっきりと手形が残っていたとかいなかったとか。
お姫さま救出大作戦!
私立バサラ学園。
その生徒の割合は、資産家の子息がほとんど。
ほとんどということは、そうではないものも一部いるということ。
その一部に猿飛佐助が含まれている。
その一部に、佐助の向かいに立つ風魔小太郎は含まれていない。
「明日から一緒に学校に行けるんだな」
佐助は自然に表情を綻ばせ、小太郎の手をぎゅうと握った。
小太郎は入学式の前日から風をこじらせ、二週間学校にこれなかった。
それどころか家からも出れなくて、今までずっと学園には足を踏み入れていないのだ。
そろそろゴールデンウィークに入ろうかという四月の終わりになって、ようやく復活した次第である。
「おーい。小太郎ー」
派手な少年が、佐助と小太郎の居る校門まで走ってきた。
何が派手なのかというと、雰囲気である。服装は単一の学生服を着ているのだが、かもしだす雰囲気が、祭のような賑やかさをおびている。
大きく手を振り、満面の笑みを浮かべる彼に、小太郎は空いた手で振り返す。
その顔には見覚えがあった。
同じクラスの……確か前田慶次だっけ。
「友達?」
佐助が問うと小太郎はこくんと頷く。
「よ。久しぶりだな。小太郎」
快活な声に小太郎は嬉しげに頷く。慶次は次に佐助に目を移しあれ、猿飛じゃんなんでここに?とひとなつっこい目で尋ねる。
佐助はふふん、と悪戯っこのように目を細める。
「俺はな、小太郎の、兄なんだ」
誇らしげに、言った。
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後ろの席に佐助がいないことに幸村はそわそわしていた。ホームルームの話しあいの内容など耳に入ってこない。
「三日後の新入生歓迎会だけど、"宝探し"に決まったって生徒会から報告があったから」
クラス委員の発表に、くだらねえと野次が飛ぶ。
幸村はそれすらも耳に入らぬようで、机に頬杖をついて明後日の方向を見つめていた。
かつかつ、と廊下から複数の足音が響いて、教室の前で止まる。
ガラリと戸を開ける音に振り返ると、そこに待ちに待った人の姿があって、幸村は目を輝かせる。
ばんばんと机を叩き、早く座れと示す。慶次や小太郎のことなど目に入っていないらしい。
「佐助、何処に行っていたのだ?」
佐助は椅子を引き、座る。両手で頬杖をつき、にぃっと唇を吊りあげる。
「弟をね、迎えに行ってたんだ」
弟、の部分をやけに強調して、やはり誇らしげに言った。