ぐちゅぐちゅと結合部から濡れた音が漏れる。
佐助の小さな"入れもの"は、そこから赤い血を垂らした。

「ぅあっああっ!!」

叫ぶような喘ぎ声が響き渡り、そしてくたりと力を失った。

佐助を抱える幸村は唇を歪め、満足そうに笑みを刻んだ。

ぴちゃんぴちゃん、と佐助の竿が溢す白濁が、廊下に小さな水溜りを作る。
すがる力を失った両足がたれ、両腕は緩く幸村をつかんでいる。

「ふっ」

幸村の呼吸は、佐助ほど乱れていない。
額に汗を流し、その男のにおいで佐助の鼻を犯した。

幸村のにおいが、彼のにおいだけが、佐助の鼻孔を通る。

体を幸村に抱き締められ、視界も幸村で埋めつくされ、中に深く侵入してきて、奥に熱いものを放たれて、耳を声で犯され、唇を奪われ。

何もかもが、幸村で支配されて、佐助は幸村のことしか考えられない。

体に残されたものに、佐助は泣き、意味不明な甘い訴えをする。

「あついっだんなあっのあついよっあっ狂っちゃうっ。
出るっだんなのおっ
へんっいきてるよ。あついっ死んじゃっ!!ぐるぐるしてるっあっああっ」

幸村は動いてもいないのに、佐助は何に"イかされて"いるのか、射精する。

要は。

奥でたまる幸村の精液にすら感じてしまったのだ。

「ひっ旦那くるっなんかくるっひぃっあっ」

佐助は再び幼い雄を反応させる。

幸村はそれを酷薄な目で見つめ、狂ったように快楽を訴え乱れる佐助に、子供でも出来たか?と戯言をほざく。

佐助の溶けた脳といかれた唇はそれにおかしな返答をする。

「お腹いたっあんっけられ、てる?ひっだんなっすごっきもちっいっちゃっやあっうごいてるよっあああっ」

びくびくと硬度を増し、天を向く。先走りをながし、幸村のスーツを濡らし、結合部を伝い、水溜りを大きくする。

濃厚な臭いを放ち、幸村の臭いとともにそれは佐助の思考を酔わせていった。

佐助の思い込みと幻が生む快楽は、佐助の口から矯声をほとばしらせる。

「しろいのがあっだんなのしろいのがあっっいやっおれっ生んじゃうなんか生んじゃうよおっっやっだあっ!!
ひいっ暴れてるよっおれんなかでっ……っぁ!
きゃああああああーー!!」

女のような佐助の悲鳴が長く尾を引き、廊下中に木霊した。

体を突っ張らせ、叫びと共に佐助の中で暴れる"何か"を吐きだした。飛びちったしろいものが二人を汚す。

佐助は抱き締める腕の力を失い、幸村の胸にもたれかかり、全身を預けた。

涙を流して、辛そうに荒く呼吸する佐助に、幸村は苦言をていす。

「勝手にそう何度もいくな。主をおいてきぼりにして自分だけ快楽を得てどうする?
俺はまだ一度しか達しておらぬのだぞ?」

幸村の逸物は、佐助の恥態により膨らんでいる。

佐助はそれ感じて、はいとちいさく頷いた。意識はかろうじて残っているようだが、目は虚ろであった。だらしなく空いた唇から唾液が垂れている。


幸村はくたりとなった佐助をもう一度抱えあげた。

その刺激に佐助は鳴き、震える。

「さて、巡回を続けるか。佐助行くぞ」

佐助の背中と尻を支え、また歩きだす。

びくびくと、佐助は幸村の胸にすがる体を、歩く振動に揺すられ痙攣させる。
喘ぐ声はかすれ、幸村の耳に小さく届いた。

階段を登るとき、佐助は酷くいやがった。

普通に歩くときよりも振動が強く、中を深くうがたれる。

「ひゃっあっゆっくりっそんなっやあっ」

一度は手放しかけた意識を掴みとり、佐助は幸村に必死懇願する。

幸村の逸物は佐助の肉に擦られ快楽を訴えるが、根元まで貫けぬせいか、射精するには至らない。

佐助ばかりがよがるのが腹立だしいのか、飽きずに己に逆らう佐助の言葉が苛立つのか、幸村の声は冷たい。

「騒ぐな、うるさい」

階段を登り終え、二階に着いたときには、佐助は何度も受け入れた後のような疲労を体に負荷し、佐助の体は限界を越えていた。

幸村は哀れなほどくたびれた佐助を壁に押し付け、佐助を宙に浮かせたまま、深く繋がる。

人形を抱くように手応えのない体を、幸村は蹂躙した。

「佐助。どうした?気絶したか?」

この程度で?

嘲る声が何処か遠くから聞こえてくる気がした。

ぐちゅぐちゅと中から響いてくるものが、他人の身に起きているよう気がしてきた。

虚ろな目が閉じていく。

「本当に気絶したか、全く……主としている最中だというのに、無調者め……」

幸村は佐助の蕾に、何度も何度も腰を打ちつけた。

佐助の中にある快楽に酔いながら、いかにして佐助を辱めるか。それに想像を巡らす。

(ああ、なんと愉快な……)

佐助と出会うまでのニ十五年の月日は、抜け殻であった。幸村の魂をざわめかすものも満たすものが何もなかった。

女を抱いても、男を抱いても、試合をしても、何をしても。

何も幸村に生きる喜びを与えなかった。

けれど。これからは違う。

(佐助……俺の佐助……)

ずっとずっと一緒だ。

ずっと倒錯的な行為に耽り、共に乱れ生きよう。

戦のないこの時代では、喜びなどそれしかない。

(ああ、甘い匂が香る)

蜜の匂だ。行為の最中ずっと香り、幸村を狂わしていた。

佐助に匂いだ。

ニ十五年の月日、ずっとかぐことの出来なかった匂だ。

(この蜜が、もっと欲しい……)
ずっとずっと、腹を空かしていたのだ。

この蜜を味わえず、飢えていたのだ。

喉が渇き、求めていたのだ。

(足りない……この程度では足りぬわ……)

喉を潤すことの出来なかったニ十五年分の空腹が満たされるわけがない。

もっと佐助の蜜を食さねば、"空腹"で死んでしまう。

幸村の律動は激しさを増す。それに呼応するように佐助の体がぐにゃぐにゃと揺れる。

(見れば見るほど、幼く小さな体だ)

佐助を犯すのは法的にも犯罪だ。

(かわいらしい……汚れを知らぬ体……俺に汚される体)

異常な快楽が満たされる。

何故、背徳的な行為はこんなにも快楽を満たすのだろう。
例えば粛々とした未亡人。
例えば男を知らぬ少女。


そして、幸村にとっては、性に幼い少年……


それを犯すのは、なんと愉しきことか!

(たくさん鳴いていた。俺の"しろいの"で、狂ったように感じる様といったら!)

もっともっと狂わせてやろう。
もっともっと乱れさせてやろう。

手練手管はこちらの方が遥かに上。

佐助は何も知らぬ何にも染まっていない白い体なのだ。

思う通りに教えこみ、俺の色に染めてやろう。

がつがつと叩きつける腰が止まり、ぶるりと震えた。
幸村は佐助のなかに白濁を注ぎこんだ。

ずるり、と長時間繋がったままだったものをようやく引き抜く。栓を失った穴から、重力に従い、佐助のなかに残されたものがどろりと流れ出る。

びちゃ、と。

赤と白が混じりあったものが廊下を汚した。

幸村は、それを片付けるつもりはない。

朝になって、学校に来たものが、これを見て、いやらしい行為を想像すればいいのだ。

この臭いに、ここで何をしたか分かるものは分かるはずだ。

(聖なる、なんて馬鹿げている。汚れるだけ汚れればいい)

汚れたものの中に、美しいものがあるのだ。

その証拠のように、俺に犯され汚された佐助は、こんなにも美しい。

狂うくらいに。

幸村は、佐助の膝裏に腕を入れ、背中を支える。いわゆる姫抱きにして、佐助を持ちあげた。

壊れものを扱うかのように優しく額にキスを落とし、佐助の意識があるときには見せなかった愛おしむ光を浮かべ、佐助を一心に見つめる。

「なあ、佐助、次は何をされたい?お前はマゾヒストだから、とびきり酷いやつをしたら、喜ぶよなあ?」

ずっと繋がっていてやろうか?飯も食わず、何処にも行かず、花を咲かせる蕾に楔をうちこんで。

それとも張り型でもいれて何処かへ出かけようか?

両親の目の前で犯す?
それともクラスメイトに見せつけてやろうか?





そうだ。佐助の両親の前で抱いてやろう。

(会社を経営しているのだったな……)

ああ、簡単だ。
なんて呆気ない。
佐助もずっと自分の手元に置いておくことが出来る。

俺の側を、"佐助の帰る場所"に出来る。





幸村の中で策略が巡る。




"花守の獣"の目は、黒く輝いていた。