佐助が愛されないとさみしいので猫佐助。(なにゆえに?)

猫佐助続編


「ねつ!?」

幸村はあわてて佐助の額に手をあてた。確かに……熱い。

「体調わるかったから、寂しかったんじゃないか?風邪引いて寝てるときって、人恋しくなるもんな」

前者は幸村に、後者は佐助に語りかける。
佐助は慶次のやさしい声音にうっとりと目を細め、うんとうなずいた。
今朝からずっと体の調子がおかしかった。
体がだるくて、頭がぼんやりとする。
それを伝えるまえに、幸村は家を飛び出ていってしまったから、こういうときどうすればいいのか佐助はわからなかった。
何せ、元猫である。
薬を飲む、という発想にいたらない。
ぽつんとした部屋でたったひとりきり眠っているのがいやで、部屋を飛び出した。
同じ猫仲間の小太郎に会って、辛いのをごまかしたかったのだけれど、小太郎とも会えなかった。
歩いているうちにどんどん辛くなって、記憶を頼りにして幸村の学校に訪れた。
苦しくて辛くて……そんななかやっと幸村にあえたというのに、彼の口から飛び出してきたのは叱責。

(俺が猫の姿だったときは俺が辛そうにしているとすぐに気付いて、一緒にいてくれたのにな……
一緒にいれなくても、心配してくれたのに……)

やさしく撫でてくれたり、低くここちよい声で話かけてくれたり……

それだけで、ずっと楽になるのに……
体のなかがふわっとあたたかくなって、辛いのも忘れてやすらかな眠りにおちる。

目が覚めたら、苦しかったのが嘘みたいによくなって、それが嬉しくて、旦那のおかげだよっていうたくさんのありがとうをこめて、にゃあ、って鳴くんだ。

そうしたら旦那は俺が元気になったことを喜んでくれて、だっこをしてくれる。
病気だから、安静にって言われて病気の間だっこできなかったかわりに、ずっと膝のうえにのせてくれた。

……なのに旦那は、俺が人間の姿になったらちっともかまってくれなくなったんだ……

佐助は悲しくなって、それをごまかすように慶次に甘える。
爪を立てるように彼のシャツをぎゅっと握って、しがみつく。

ぴくん、とそれに幸村のほほが引きつる。
佐助が甘えて抱きつくとき、自分によくすることだった。
猫のように爪がないから、かわりに服の布地を掴むのだ。

「佐助」

幸村の声は一段と低くなる。

「帰るぞ」

低く告げた声に佐助は首を振る。

「いやだ!けいじの膝の上にいるの!」

熱のせいか目が潤んでいる。それとも、幸村にかまってもらえなかった寂しさからこぼれた涙だろうか。
佐助は意地になって、慶次にこだわる。

幸村は佐助の涙にも気付かず苛立ちながら、わがままをいうなと怒鳴りつけた。

佐助は耳をぺたっと頭に付け、ぎゅっと目をとじる。
幸村に怒られた怖さから余計に慶次に抱きつく結果となった。

「佐助!」

(知らない知らない。こんな風に怒るだんななんてしらない!)

猫のときはだんなが怒っているとき、怖かったけれど怖くなかった。
叱ったあとは撫でてくれた。
けれど、いまは一方的に怒鳴りつけてくるだけ。

……憎しみがこもった鋭いひとみで睨みつけられたことなんてない!

「う……」

怖いのと、悲しいのが頭のなかでぐちゃぐちゃになって、消化しきれない。いろんな感情がぐるぐると渦巻いて、はけ口を求めるように目の奥が熱くなった。

「ひ……っく」

「ん……?」

「あ……佐助……?」

佐助はぼろぼろと泣き出した。

「ひどいっ……だん"にゃ"は俺のこときらいになったんだ!」





今日はここで力尽きた。明日はあるのか……


猫佐助は元猫だから頭がちょっと悪いというか子供っぽい。
二十二、三くらいの見た目であろうが中身は猫。
猫だからいいんだ……
猫だから……

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