「ね、離してよぉ」

お願いする声が色っぽい

たまらず頭を佐助の首根に押し付ける。
甘い匂いぶわっと鼻孔に入ってきた。

理性なんて吹き飛ばされそうな、<女の香>

「旦那、俺、ちゃんと話したよ!?」

かん高い非難に黙れと低く命じることが出来ればどんなにいいか。

身をよじる佐助を、欲望と折り合いをつけてようやく放すと、幸村から逃げるように佐助が勢いよく壁まで退いた。

このまま放していたら、佐助は才蔵の所に行ってしまうのではないかと被害妄想。

顔を真っ赤にした佐助に冷めた一瞥をやると、哀れにも彼女の体がびくりと震えた。



言いたいことは分かる。

主従であることを考えれば、部下が主を頼って側で眠るなど言語動断だろう。

けれど、幸村は……


(佐助が自分以外の男を信用したり頼ったりすることが許せない。
自分には見せない無防備な姿を他の男には晒すのが許せない!)


愛しくて、その体に触れかけた男の指は、今にも欲望のまま、女の柔肌に喰らい付き、貪ろうとしていた。

(でも、駄目だっ……!)

幸村は佐助に触れかけた指を寸前に握りしめる。

「もう、よい」

そう残して立ち上がり、震える佐助を置いて、室から立ち去った。






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