やがて、佐助から表情が消えた。能面のように作りものめいている。
「情報を得る為に必要だった。それだけです」
「それだけとはなんだ!お前は……!お前が……!」
俺以外の男に抱かれた……?
幸村は男として佐助を拒んだというのに、それを許すことができなかった。
それが理不尽な我が儘であるとしても、幸村は佐助に怒りを覚えた。
男に抱かれることで得る情報が、全ては自分のためと思っても、納得出来るわけがない。
「お前は俺を好いていたのではないか?」
困惑と動揺、そしてそれ以上の憎しみと怒りを込めて、佐助「お前は……俺のものだ……」
だから、俺以外の男がお前に触れることは許されない。
……だから、お前が俺以外の男に体を許すなんて思う分けがなかった。「ええ、俺は貴方のものだ」
「なのに……!なのに……!何故!?」
何故男に抱かれた!
言う権利はない、と理性が訴える。
言う権利だとか関係ない、佐助が佐助である限り自分以外の誰かに触れることは許せぬことだと感情が叫ぶ。
お前のその白い肌に、
男の汚い舌が這ったのか?
お前のまだ幼い膨らみに、男は愛撫を施したのか?
お前の一番柔らかい部分から漏れる蜜をすすったのか?
そこで男を受け入れたのか?
どんな顔をして?
どんな声をあげて?
俺は知らない。
俺はそんなお前を知らない!
幸村の言葉にならない衝動を感じ取り、佐助は笑った。
「自分の物だと思っていたものが、既に他の男のものになっていて、腹がたちましたか?
一度捨てた物でも、誰かに取られると悔しいものですか?
大事な菓子でも取られたような気分ですか?
貴方にとって俺など所詮その程度でしょう?」
「違う!違う!違う!」
佐助の言葉の言葉を狂ったように否定する。
何が違うのか自分でもよくわからない。
強いていうならば、
佐助が自分以外の男に抱かれたことが、一番の間違いなのだ。
幸村は佐助にまたがったまま、乱暴に衣服をくつろげる。
己が何をしたいのか分からない。
ただ、衝動のまま、佐助の乳房にすいつく。
はは、と佐助は乾いた笑いをあげる。
「抱くがいいさ。
思うがまま、俺に欲望を叩きつければいい。
そして、俺を孕ませなよ。自分と同じ境遇の子を自分で作ればいいさ」
達観したような佐助に腹がたった。
混乱の海の中にいる自分を対岸で眺めているような佐助の態度が気に入らない。
自分を見つめようとしない佐助の目が気に入らない。
あの時のように俺を見ろ。
以前のように俺を求めろ!
だが、幸村の願いは叶わぬ。
佐助はもう幸村を好きだったころの自分を捨ててしまったのだ。
「佐助……!」
欲情した雄の声すら、佐助の心をうごかさなかった。