ごめん……

俺は貴方をとても傷つけた……
汚れひとつ見当たらぬ、貴方の真っ直ぐで綺麗な心を壊してしまった。

汚したかったのは、綺麗なままじゃ愛せなかったからだ。

汚い俺では、綺麗な真田幸村を愛していいわけがなくて、汚したくないから、愛さなかったのに、愛したい故に汚したのだ。

信頼も友情、今まで築いてきたものなどいらなかった。

俺は真田幸村を愛したかった。

ただ、それだけなのだ。


今まで逃げなかったのも、償いなんかじゃない。


体に過酷な行為を強いられた。
俺をを汚す度に、貴方は黒く落ち逝く。その様を見、どんどんと惹かれていったのだ。

俺を汚し、自分と同じものになっていく貴方をもっと深く愛してしまったんだ。

ごめん。俺の悪辣な自虐趣味は、貴方をもっと傷つけた。

貴方は平気で酷いことを出来るひとではないのに。

「……ああ」

なんて、愚かなんだろう。

今更になって、気付くなんて……

血は流れ、体温は低くなっていく。

結局は、伝えられずに、消えゆく思い。

なんて、なんて、愚かなんだろう……

けれど、俺は、安らいでるよ。
最後に、貴方へと捧げる言葉は、懺悔じゃないから……

 

 

(愛しています)

 

 

佐助の命が果て、その意識が溶けて消えるように。その佐助の最期の言葉もまた、幸村に届かぬまま、溶けて空に消えた。

 

 

 

「……な、ぜ」

目を開かない。
何も言わない。

「どうして……」

こんなにも血を流して、冷たいのだ……

「……嘘だ」

陵辱の痕が生々しく残る体。彼は逃げられることも出来ず、男に乗り掛かられ、犯されたのか。

(俺が佐助から全て奪ったせいで)

彼は無抵抗のまま、殺された。

「そんな……」

俺は……

お前に優しくしようと……

その儚い体を労り……

ただ……

「……ぅあ……」

もう、二度と泣かないように……

泣かせないように……

壊れものを扱うように大事にして……

ただ、ただただ……

「さすけぇ……」

奪ってしまったものを返したかった。

その体に課した罪を償いたかった。

癒したかった。

包みこんでやりたかった。

そして……

「いやだあっ!!!!!」

(愛したかった)


その恋は、最悪な形で始まり。

 

最悪な形で幕を閉じた。

 

 

 

 

「愛してる!佐助!愛してる!」


それは、叫んでも、最早届かない、想い。

 

 

 

人の唇は生あるときに憎しみを語り、


死するときに心が愛を叫ぶ。

 

 


05.04