それは悲しいことに愛情ではなかった。
すまない、と唇からこぼれおちる言葉は、自分のものとはおもえないほどちいさくてか弱かった。
忍はいいんだ、と儚く笑う。その笑みにこみあげてくるのは、罪悪感でも後悔でもなく、劣悪な充足感。
己のなかにこんなにも醜く歪んだ感情が潜んでいるなど、今まで知りもしなかった。
それは幸村にとって、蓋をしてでも押し隠して、視界から閉ざしたい不快なもの。
それでも、佐助を前にすると蓋をしても鍵をかけても目をそらしたいものはあふれ出て、理性を奪って幸村を衝動に走らせる。
ああ。それは性欲ですらないんだ。
性欲を満たしたければ他のものたちで相手をすれば事足りる。
事実佐助が仕事でいないときは、そうやって若い性を満たしていた。
なのに佐助が触れる距離にあることを知っていると、佐助に触れたくなる。佐助を犯したくなる。佐助を侮辱したくなる。佐助を傷つけたくなる。
ああ、これは愛情ではない。
こんなにも醜くて腐った感情を、愛とよぶものか。


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