佐助は愛されるべきだとおもうので猫佐助。(だからなにゆえに?)
猫佐助続続編
佐助は子供のようにえぐえぐと泣きだした。
しゃくりあげる声がしんとした教室に響く。
クラス中がそれに困りはて、なんとかしろよという目で幸村を見つめた。
慶次も苦笑して幸村を見つめている。
「さ、佐助……」
ようやく自分が佐助に対し理不尽に怒りを抱いていたことに気付き、反省の色を瞳に浮かべる。
「す……すまない。怒ってしまって……」
佐助は慶次に顔を押し付けて、幸村のほうをみようとしない。
かたかたと震えて泣いているのが、一層幸村を申し訳ない気持ちにさせる。
「熱があるんだろ?酷くなるまえに一緒に帰ろう?」
幸村が佐助の肩に手を置くと、視線だけ幸村に向けた。
傷ついた目をしていた。
佐助はひとのように複雑にものごとを捕らえられない代わりに、感情をストレートにあらわす。
綺麗な琥珀色の瞳が、悲しみに染まっていて、幸村の胸に痛みを与えた。
ごめん。佐助を傷つけたかったわけじゃないんだ。
ただ、自分以外になつく姿をみていると、苛々して怒りをぶつけずにはおれなかった。
今だって、ごめんと謝るこころと、慶次にくっつくなという苛立ちが心のなかでぶつかりあっている。
でも、それを表に出したら、悲しむのも怖がるのも佐助だ。
もう、おびえた顔はさせたくないから、幸村は必死にあやまる。
「ごめん、ごめんな佐助」
佐助はふいと視線をそらし、ぽそりとたずねた。
「今日、いっしょの布団でねてくれる?」
佐助は猫のときからの習慣で、幸村と一緒の布団に入って眠るのが好きなのだが、幸村は佐助が人化して以来、暑苦しいといって、一緒に寝てくれなくなった。
大の男ふたりが同じ布団にねむるのは、確かに絵図的に暑苦しい。しかし、佐助がそんなことを気にするはずがない。
とにかく佐助は見た目はどうあれ、自分のおもうがままにものを言うし行動する猫なのだ。
幸村はうっと一瞬つまったのち、わかったとうなづいた。
佐助はそれにようやくにっこりと幼子のように無垢な笑みをうかべ、うでをのばした。
「だん"にゃ"。だっこ」
幸村はわかったとうなずき、佐助を抱き上げた。
幸村のうでは佐助の膝裏と背中に回される。いわゆるお姫様だっこの格好だが、ふたりは別段、それに恥ずかしさを感じないらしい。
見ているクラスメイトは自然にそんなことをしてしまうふたりに、ちょっとだけ顔を赤くした。
「ごめんな。佐助」
こつんと額をあわせて、幸村と佐助は見つめあう。
「ん……」
佐助はうなずき、鼻どうしをくっつけてキスさせた。
接触した肌の熱さと、伝わる脈拍の速さから、はやく眠らせたほうがいいな、と幸村はおもう。
「佐助、今日はあったかくして眠むろうな」
佐助はこくんとうなずいた。
ようやく自分に甘えてきた佐助に満足の笑みを浮かべて、幸村は愛おしそうに佐助を見つめる。
幸村の優しい瞳に、佐助は泣くこともわすれてはにかんで、ぎゅうと幸村につよく抱きついた。
おわり
クラス中の注目の的だよ。あんたら。
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