ぱらぱらと降り止まぬ雨に閉口している人影が、目に入った。
雨でぼやけたような情景の中でもくっきりと浮かびあがる人影。
甘味屋からの帰り道、ひとり傘をさし歩く幸村に人影は気付き、おおいと手を振った。
「慶次どの」
幸村は既に閉まった店の軒下で雨宿りをする慶次のもとに、水たまりを避けながら歩いていった。
しかし、それでも着物のすそはばしゃばしゃと水や水を含んだ土で汚れる。
「久しぶりだな」
笑いかける慶次同意をしめし穏やかにうなずく。
「一年ぶり……でござるな」
城に殴りこみをかけてきて以来では?と、ここ一年で随分と性格がすれた幸村がわらいかける。
「……変わったなあ」
慶次は幸村のことばに苦笑いをこぼし、ひとはかわるものですよ。とさらりとこたえる。
「誰が変えちまったんだろうなあ」
負けてはいられないと、からかうように問う慶次。
それは無粋な問答でござる。としれっとかわす幸村に、慶次はさらに続ける。
「恋はひとを変えるけどな。幸村はあんまりいい形で変わらなかったな」
性格が黒くなった。
がっくりとうなだれてぼやくのが演技がかっていて、幸村はそれを鼻で笑う。
「黒くなったとは聞き捨てなりませぬぞ」
「そういう言い方とかな……」
慶次はははっと笑い、肩にのる夢吉が合いの手をいれた。
「呼び止めておいてなんだけどこんなとこで道草くってていいのかい?」
最愛の人がまっているのではないかと、彼らしい恋をかたるときの華やいだ表情になる。
「ん?いいのだ道草をくっていたほうが好都合だ」
気にしないでくだされ。そう答える幸村の顔は人の悪い笑みが浮かんでいる。
「なんでそんな風になるかなあ……」
慶次が呆れると、
「こどものようなままではあの鳥は捕まえておくことが出来ぬので」
含むものを滲ませながら、幸村は笑った。
そのあと佐助が迎えにきます。
性格黒くならないと、佐助を捕まえて置けないと学習した幸村様の話。
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