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貴方は本気で女を抱くのね。
遊女は悲しげに幸村を見つめ、煙管をくわえ、――何故かやけに似合うと幸村は思った――濃いにおいのするけむりをふかしていた。
艶めいた肌が銀光に照らされ、妖艶に見せる。
女の冷めた微笑は蠱惑的であったが、幸村はそれに我を忘れるほど情欲に対して忠実ではなく、何も感じないほど枯れてはいなかった。
「男たちが私たち遊女(おんな)を抱くのは、所詮遊び。恋をしたと騒いで見受けしても、それはやっぱり金で買った遊女の扱いになる」
ふうと煙が幸村の顔にかかる。政宗がよくそういうことをするから慣れたもので、幸村はそれをいやがるでもなく、女を見つめていた。それに、政宗が吸っている煙草よりもずっとにおいのいいものだった。一国の主と一介の遊女が使う煙草を比べ、たかだか遊女が城主よりもいいものを使えるはずもないから、それは単なる相性なのだろう。嫌いなにおいではない。
「一晩だけ通りすぎていく男の体。
欲をそそいで、女の肌を楽しんで、ただそれで終わり。
一夜の夢をあたえるのが仕事」
なのに、貴方は私に夢を見せてくれるのね。
女の瞳はやはり悲しげであった。
「うちの店で、貴方に抱かれたものは、必ず貴方に恋をするわ」
幸村はそうか、と呟き、幸村は酒杯を傾ける。
「貴方の熱に」
「貴方の優しさに」
「貴方の曇りない心に」
みんな恋をしてしまう。叶わぬ恋と知りながら、貴方に恋をする。
「上手いだけの男なら、たくさんいるわ」
でも、あなたはそうじゃない。
「たった一度の交わりに、命をかけているような。そんな抱き方」
たった一度だからこそ、目もくらむような、夢のような熱さと至福と快楽に、呑まれる。
「私も貴方に恋してしまいそうになったわ。でも、これは叶わぬ恋ね」
ふふ、と女は色香にあふれた美貌に似つかわしくない少女の微笑みを浮かべた。
「貴方が好きな人は他にいるんだもの」
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